第170章

田中辰哉がゆっくりと歩み去っていく。その背には、大島莉理にとって見慣れた顔ぶれが続いていた。

青山大輔、前田美咲、佐伯清司。

馴染みのチーム。馴染みの人間。

大島莉理はふっと笑う。

「これなら今日中に、データの洗い出し全部終わりそうね」

「当然だろ。俺たちのチームが残したミスなら、みんなで尻ぬぐいするのが筋だ。部長ひとりに背負わせるわけにはいかない」

前田美咲は人懐っこさの塊みたいな女で、挨拶も立ち回りもやたら手際がいい。二、三言話しただけで新しい椅子を確保し、誰かが席まで譲ってくれた。

ほかの面々も次々に腰を下ろしていく。

けれど大島莉理の視線は、左隣に座る田中辰哉に吸い寄...

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